東京・青山のスイーツサロンにて
更新日:9月7日
今回はアスカルのデザインを活用いただいた嬉しい事例のご報告です。
2026年8月8日、東京・青山に上質なスイーツショップ&サロン「PRISMIC Aoyama」がオープンしました。 このお店にいくつかデザイン面で関わらせていただいております!

そもそもの経緯としては、2022年ごろに遡ります。
ちょうどMADE in 日本橋という工房を始めてしばらく経った頃、パティシエの柴田勇作さまからご相談をいただきました。
この時の柴田さまは、パティシエ・コンクールの最高峰と言われる世界大会「Coupe du Monde de la Pâtisserie(クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー)2023」の日本代表チームリーダーに選出され、その大会で作るお菓子のデザイン・構想を考えていたところ。
当時、パティシエの大会では強豪国が3Dデジタル技術を使い、3Dプリンターで作った型を用いたスイーツが今までになく独創的だとして評価され始めた流れがあったそうです。 そんな背景もあり、アスカルの幾何学的なデザインや型制作のノウハウを見て、大会用の特別な作品作りに協力してもらえないか、というお話でした。 2023年大会でのテーマは「気候変動」 テーマに沿った内容で、飴細工、チョコレート細工、氷彫刻、シェア・デザート、レストラン・デザート、フローズン・デザート、フローズン・ロリポップの7種類のスイーツを4人1チームで9時間以内に作る、というのが大会の競技内容です。
柴田さまをはじめ、日本代表チームの皆さまが世界のパティシエを相手に考えた最高のお菓子たち。 それを形にするため、ほんの一部ではありますが、木型や原型型などをアスカルがデザイン・制作しました。 例えばこちらの「フローズン・ロリポップ」
アイスでできたスイーツで、風車をイメージした1〜2口サイズの可愛らしいお菓子です。
風車部分は飴細工でできており、なんと実際に風に吹かれるとクルクルと回ります。

このパーツを作るため、木型を設計、制作。



凸凹の型で、薄くシート状になった飴を押し挟むことで、繊細なウェーブの風車パーツを作れるようにしました。
また、ダイナミックなクジラのチョコレート細工。
こちらを彩るリング状の装飾に和柄を施したいということで、原型型を提供させていただきました。



内側に、立体的なエンボス造形での柄表現。


サイズ違いで複数個制作。
3Dプリンターで出力後、サーフェイサーなどで表面を整えたりもしています。 こういった柄が内側にあるというのは、私たちには新鮮でした。
いつもの仕事では壁面や鉢など、柄を設けるなら当然よく見える箇所、表面に作るものだったからです。
しかもリング状で、内側になるほど面積がキュっと小さくなってくるため平面に作る柄とは勝手が違い、この時は内側が縮小しても綺麗に見えるようデータを工夫しています。


チョコレートになるとカラーリングも相まって、さりげなく見える和柄が主張しすぎず華やか。伝統的な紋様は日本らしさをアピールすることにも一役買っている感じがします。 ちなみに、この和柄は「七宝(しっぽう)」と言って縁起の良い意味合いもあり、元は仏教に出てくる「七つの宝」のことを指します。 くしくも大会の競技デザートも7項目。日本チームの作る7つの最高のスイーツ=宝物...
ここで使われるに相応しい柄の選出だったように思います。
そして最後に、アイスケーキ「アントルメグラッセ」。
風車から起きる3本の風の流れを螺旋状に描いたデザインをモチーフに、完全オリジナルでデザインしています。

アイスケーキの中の部分は、のり巻きや金太郎飴のように素材や味の違うものごとに型取りをして、組み合わせた時ピッタリ綺麗な筒状になるよう設計しなければなりませんでした。

風車の形でパーツ分け。
型と型の間にはソースを流し込むため、均一に隙間を開けておいてほしいというオーダー。


これを組み合わせると、風車の形になります。
また、アイスケーキ表面の模様は幾何学柄で、風の流れをイメージした螺旋状の構成。


紫部分のドットは他より深くして、陰影による変化をつけています。

実はサイズの関係で、3Dプリンターで2つに分けて出力したものを、後からくっつけて1本に仕上げています。
継ぎ目を埋めるのは手作業で地道に...
意外と機械まかせではなく、人の力も要します。


型としての抜けやすさ、気持ち良い柄のサイズ感、様々なことを考慮しながら、柴田さまと何度もやりとりさせていただき辿り着いた造形です。
そして日本代表チームは2023年大会で見事、優勝。 建材に関わることが多かったアスカルが、まさか世界の舞台で、お菓子に使われる型を作ることになるとは、想像もできなかったことです。 微力ながら世界一のお手伝いに携わることができて、本当に嬉しい経験でした。

さて、それが2023年。そして現在です。
大会で日本代表チームを率いた柴田勇作さまは徳島を拠点としており
2024年2月、徳島県・万代町に「PRISM LAB」本店をオープンされました。 https://prism-lab.jp/pages/lab
そして今回、東京だからこそできることとして 全商品が東京限定、スイーツギフトが購入できる「ブティック」と、 ここでしか体験できない特別なデザートコースを提供する「ショールームサロン」 2つを併せ持ったお店をオープンしました。 それがこの夏にオープンした「PRISMIC Aoyama」です。
ありがたいことに先日、オープンして間もないお店にお招きいただきました。

落ち着きと華やかさを感じるピンクテラコッタの塗り壁が印象的な店内。
壁面はカーブしており、やさしくあたたかな空間です。
中央の立派なカウンターはイチョウの1枚板。クセのない色味と木目で、オフホワイトの椅子やフローリングとも良く馴染んでいます。


白めどめの木製棚に飾られているのは日本代表チームを優勝に導いたアイスケーキのモデル。実寸大はロールケーキくらいの径があるのでなかなかの大きさです。
今回お店のオープンにあたり、まず依頼いただいたのがこのアイスケーキのリデザイン。 柴田さまのシグニチャーとなったこの作品をお客様にお出しするため、もっとコンパクトに、一人用の大きさにリサイズしたいとのことでした。
ドットや螺旋状の幾何柄などの要素はそのままに、細く小型化。 ただ小さくすれば良いということでもなく、縦横比や模様の縮尺も変えるなど、デザインの調整が必要でした。

螺旋の回転数、いくつも検証していきます。

出来上がった造形を3Dプリンターで出力。これを原型にしてもらいます。



素材が真っ黄色の樹脂ということもあり、これが本当にアイスケーキに、食べられるものになるのかぁ...と、不思議な気持ちに。
それが、柴田さまの手にかかり、こうなりました。



なんということでしょう...美しい...物凄いものが生まれていました。 美味しそうというより芸術作品です。食べるのが勿体無いとはまさにこのこと。 世界一に輝いたパティシエのクリエイティブを目撃しています。
輪っかも、アイスケーキの周りにあるザクザクも、すべて食べられるそうです。 凄すぎます。

大会でも使用されたココナッツのアイスとパイナップルのソルベがメインになっており、食べてみると甘酸っぱくフレッシュな美味しさだけでなく、舌触りや食感にも変化があり、口の中が忙しい&幸せでいっぱいに...
口に入れた時思ったよりキンとせず、まるでクリームを食べているように感じられる瞬間もあるなと思ったのですが、柴田さまは「アイスが冷たすぎると食べ続けるのが辛くなるので、冷たくなりすぎないよう計算しています」とおっしゃっていました。 味、食感までは想像がついたのですが、スイーツには温度という項目まであるんですね...! 一皿の中、隅々までの設計に乾服いたしました。
「PRISMIC Aoyama」 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-7-2 VORT渋谷eastⅡ 1階 Instagramアカウント:@prismic0808 https://www.instagram.com/prismic0808?igsi=Z3cxOHRydmt3Z3Bt

お店は現在、スイーツギフトの販売エリアのみオープンしています。 デザートコースを提供の「ショールームサロン」は予約限定の場所で、10月ごろより一般予約開始の予定だそうです。
季節によって、デザートのメニューも変わっていくとのことでしたので是非、皆様も特別なスイーツ体験をしに行ってみてはいかがでしょうか。
そして、アスカルの仕事もちょこっと注目していただけると嬉しいです。
建材以外で、弊社のデザインを活用いただいている、しかも一般のお客様にも見て、味わっていただける(!)というのは本当に、なかなかないことです。
実は今回他にもデザイン協力しているプロダクトがあります。
また時期が来ましたらご報告させていただきますので、どうぞお楽しみに。




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