タイルの新商品からトレンドを探る
- ascalinformation
- 7月29日
- 読了時間: 6分
春から6月にかけて、輸入タイルを取り扱う会社では新商品お披露目の展示会が多く開催されます。
・名古屋モザイク工業株式会社
・株式会社平田タイル
・株式会社ダイナワン
今年はこの3社の展示会に足を運んできました。
様々なタイル商品を実際に見てきた中で、各社に共通して感じられたタイルのデザイン傾向を3点ご報告したいと思います。
①グリーンの石
内装・水回りなどでブルー~グリーン系のタイルは定番ですし、鮮やかな濃色から落ち着いた色味まで様々あります。
しかし、今年は各社とも大理石や大判タイルでグリーン系の新商品をラインナップしており、今までとは違った商品構成がとても新鮮でした。


トルコのパムッカレ石灰棚のイメージで岩塩を彷彿とさせるデザインだそう。
ホワイトやグレーと相性が良さそうな控えめなセラドングリーン。


ライムストーン系の石柄。今まで①ベージュ、②グレーと来たら、もう1色はホワイトやブラック、ライトグレーが定番なところ、グリーンを入れた3色展開。
こちらは同じシリーズの中で、グリーン系が2種類も。
1200×600mmの大判と600角サイズで、モチーフとなっている石も違います。



「ティファニーグリーン」ってカラー名、いいですね。どちらもゴージャスな石目で見応えがあります。

3色の大理石で構成したタイルはクラシカルな雰囲気。
また印刷品ではなく、本石+施釉タイルのモザイクもありました。


こちらは石柄ではなく漆喰モチーフの大判。
1200×600サイズでグリーン系がラインナップに入っています。



緑っぽいグレー(にも見える色)、青みの緑、濃色の緑など様々ですが、各社「緑の商品が増えたな」という印象が強く残りました。
②テラコッタ
「素焼き」「焼いた土」を意味するテラコッタ。
トレンドカラーと言われ始めてから2,3年経つ気がしますが、今年もテラコッタ系の色味の新商品が目につきます。


オレンジブラウン〜コーラルピンクも、テラコッタ系と言えます。


大理石柄でもブラウン〜ピンクオレンジ系のカラーが。
この柄でこの色味だと なんだか百貨店っぽいというか、クラシカルでレトロな雰囲気を
感じます。
また、テラコッタモチーフの商品にもやや変化が。



単に、本来の素焼きらしい表現で色むらがあって・・・というだけでなく
凹凸で模様をつけたり、表面に白い釉薬でぷっくり模様を浮かばせたりと、随分遊び心のあるデザイン。
イタリアの印刷タイルが主流な中、こちらはスペインの商品だそう。明るく華やかなムードが感じられます。
ちなみにテラコッタカラーのトレンドは、アメリカのPANTONE社が選出した2025年の色「モカムース」にも反映されていると言われています。

テラコッタの色味が流行ったことでモカムースが2025年の色に選ばれ、モカムースが注目されたことでテラコッタブームにさらに拍車が掛かるという、タマゴが先かニワトリが先か的状況にも思えます。
③マット&ブライト
いわゆる「鏡面・非鏡面」「グロス・マット」表現を使った商品。
平田タイルのスタッフさんがグロス仕上げのことを「ブライト」と言っていて、響きが今っぽくていいなと思ったので真似させてもらいます...笑


グラフィカルな幾何学模様を釉薬の塗り分けで表現。
「カラバリ」ではなく「柄バリ」で6種展開なのもユニーク。


①マット
②ブライト
③幾何柄(マット&ブライト)
同色でもツヤの有無でかなり違った色に見えます。
見る角度や光のあたり加減でも変化があって多彩な印象。
アートな表現をするタイプでは、円、角の取れたまるっこさ、直線が入り混じった
幾何学模様というのもトレンドのように思います。
また大判タイルでのマット&ブライト表現は、釉薬による技術革新が年々進化しているなと実感するような商品が多いです。


印刷と同調&あえて非同調した箇所をミックスした施釉表現は大判タイルではスタンダードに。
各社そのようなタイルは数年前から出しており、今年の新商品ラインナップでもマストといったところなのですが、突出して美しい仕上げで驚いたのが名古屋モザイクのオストリカという商品。


そもそも印刷のクオリティが高く、石の透明感や奥行きが感じられて綺麗なのですが、

かなりうっっっすらとしたツヤ表現が施されていました。
この「うっすら」加減がポイントで、今まで見たことがない見え方、繊細な光り方をしています。
気づいた時(水面を見ているよう...!)と感じたのですが、商品説明を読むと「浜辺に打ち寄せる波」「水面に反射する光」とあり、コンセプトを知らなくてもちゃんと伝わるなぁと、その点も感心してしまいました。
ON ・OFFの斑のようにでベタッと、もしくはぷっくりと盛り上がる形で「狙ったところに釉薬を乗せられる」というフェーズが過ぎ、
本格的に「施釉コントロールを駆使して新しい表現を生み出す」段階に入ったのかなと、個人的にはこれが象徴的な商品のように感じました。
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以上、2025年の新商品タイルから読み取るデザイン要素・傾向でした。
やはりカタログを見るだけではわからないところ、特に大判タイルは良い意味で印象がだいぶ違ってきたり、触って初めて気づくところもあるので、実物を見に行く価値はありますね。
また今回は3社に共通する要素をまとめてみましたが、もちろん各社ラインナップには違いがあり会社ごとに個性も違うので、異なる点を探ってみるのも面白いかもしれません。
アスカルでは今回ご紹介したタイルのいくつか、また他にも最新タイルのサンプルを一部取り寄せております。 実物が気になる方、弊社へいらっしゃるご予定のある方は、ぜひお声がけください。
それではまた、次回のレポートをお楽しみに。




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