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日本橋で伝統的な紙漉き体験

  • ascalinformation
  • 9月9日
  • 読了時間: 6分

更新日:9月11日


私たちの事務所から歩いて5分ほどのところに老舗の和紙屋さんがあります。

1653年、創業370年を超える和紙専門店「小津和紙」です。



今回は同じ日本橋エリア・内装やインテリアにも関連ある素材ということで、小津和紙さまと和紙についてご紹介させていただきます。


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1階ショップには産地別、全国の手漉き(てすき)和紙が取り揃えられ、色とりどりの友禅紙、工作キットや雑貨まで、様々な和紙関連の商品があります。


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↑こちらは今お店で一番高価だという「本美濃紙(ほんみのし)」。

薄くてなめらか、不純物が限りなく少ないのは高品質な和紙の証です。中でも本美濃紙は産地や製法が細かく決められており、常時手に入るものでは無いのだそう(たまたま見られてラッキーです)


また、こちらの和紙には端の方に何かの跡が。


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和紙を作る過程で、板の上で乾かす際に木目がついてしまったものらしいです。

品質的に上位のものでは無いとのことですが、エンボス仕事のアスカル視点ではかなり面白い...!



同ビル2階はギャラリーとなっており、展示会を随時開催。

3階は資料館で、貴重な資料や文化財も展示されています。どのフロアも入場無料です。


そしてショップと同じ1階には工房もあります。

今回はこちらにお邪魔して、伝統的な紙漉きで和紙づくりを体験してきました。


工房の入り口。海外の方も沢山いらっしゃるそうで英語の説明が貼ってあります
工房の入り口。海外の方も沢山いらっしゃるそうで英語の説明が貼ってあります


まず和紙の原材料は主にこの3つ。

「楮 (コウゾ) 」「三椏 (ミツマタ) 」「雁皮 (ガンピ) 」という植物です。


この中のどれかを使うことが多く、最も一般的なのが「コウゾ」。

今回の体験でもコウゾを使います。

左からコウゾ、ミツマタ、ガンピ
左からコウゾ、ミツマタ、ガンピ

↑これは乾燥したものですが、元はガッツリ「枝」ですね↓



これを蒸して、柔らかくしてから表面を剥いで、

中心部の繊維だけが和紙の原料になります。

「外側は樹皮ですよね。これを剥いで、中の白い部分だけを使うイメージです」と見せてくれました
「外側は樹皮ですよね。これを剥いで、中の白い部分だけを使うイメージです」と見せてくれました

どんな紙でも、元は繊維でできています。

コウゾはその繊維が長いのが特徴です。


例えばコピー用紙などに使われているのはパルプですが、

ちぎって比べてみると繊維の長さの違いが一目瞭然。


(左)コウゾ・(右)パルプ。水に溶かした繊維の塊をちぎったところ。
(左)コウゾ・(右)パルプ。水に溶かした繊維の塊をちぎったところ。

長い繊維ほどよく絡まり合い、丈夫な紙になります。

どれくらい丈夫かといえば、日本に現存する最古の紙はコウゾでできているくらい。

1300年以上前からある素材と製法だなんて、改めて現代に残っている凄さ、紙の歴史と耐久性に驚きます。


そしてこのコウゾと、水、粘り気を出すための「ネリ」

3つを混ぜたものが和紙のもと。


ネリには「黄蜀葵(とろろアオイ)」という植物の根っこを使うのが一般的ですが、工房では代替品を使用しています。


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白く濁ったように見えるのがコウゾ。水の中で繊維がバラバラにほどけ漂っています。

水の中に手を入れてみると、トゥルンととろみがあって冷たくて気持ち良いです。この水温も大事で、ネリの利き具合に影響するため(夏は特に)調整が必要です。



さて、原料についてわかったところで いざ紙漉き。

使っていく道具はこちら、竹製の簾を挟んだ木枠です。


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これがとっても美しくてですね...!


この細かさ、繊細さにまず感動してしまいました。1mm以下の細い細い竹の並びを見てください。すべて手作業で作られたものだそう。道具ひとつとっても職人技、工芸品です。


この型枠を、和紙の原料にざぶんと入れて、


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上下左右に揺らします。


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簾の隙間から水が溢れ落ちて、揺らすうちにだんだんと水位が減っていきます。

ネリでとろみをつけるのは、この水が落ちるスピードを調整するため。早すぎても遅すぎても、綺麗な紙は作れません。



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水が引けて、うっすら1層目ができました。



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これを何度か繰り返し、厚みを出していきます。

揺らし方もコツがあり丁寧にサポートいただきつつ、途中失敗も挟みつつ...


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ある程度の厚みになりました。

あとは吸水してくれる機械にかけて、乾燥させれば和紙の完成です。



さらに、「この段階で模様もつけられるんですよ〜」と取り出してくれたのがアクリル板や蝶のパーツ。


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これを先ほどできたものの上に乗せて、勢いよくシャワーで水をかけると、


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見事に模様ができました!

水滴を落として模様をつくる「落水」という技法です。



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真ん中あたり、上からぼたぼたっと水を垂らした箇所が水玉になりました。

水滴を落とすとその衝撃で白いコウゾが周りに追いやられる感じです。その原理で模様を作っています。


落水紙いろいろ。模様のある和紙はこうやって作られていたんですね
落水紙いろいろ。模様のある和紙はこうやって作られていたんですね
作った和紙を貼り付け、乾燥させる工程。板が暖かくなっていて水分を飛ばしてくれます
作った和紙を貼り付け、乾燥させる工程。板が暖かくなっていて水分を飛ばしてくれます
ハガキサイズ。他の紙や箔を混ぜたり、着色もできます
ハガキサイズ。他の紙や箔を混ぜたり、着色もできます


また「かき氷の形の和紙ができたら可愛いかも」というお話から、アスカルで型を作って持ち込み、試させてもらったりもしました。


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夏らしく華やかな仕上がり!
夏らしく華やかな仕上がり!

今回は小津和紙さんご指導のもと、特別にいろいろな和紙づくりを体験させていただきました。

作るところや材料から素材に触れると、より深く知れるのはもちろん、その素材がグッと身近に感じられます。気になった方は是非チェックしてみてください。


※工房は予約制・有料です。詳細はこちら↓

【小津和紙 手漉き和紙体験工房】https://www.ozuwashi.net/workshop.html




最後に、先日行われたギフトショーに小津和紙さんが出展していましたので、ブースの様子もご紹介。

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今回は和紙そのものではなく、和紙製品がメインのようです。

こちらは和紙糸の靴下。


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隠れ5本指&足袋型のかたち
隠れ5本指&足袋型のかたち

手に取ると布よりもカサっと、ザラっとしたような独特な手触り。

ちょっと硬い素材?チクチクしないかな...と思いきや、実際履いてみるとサラッと柔らかく、足触りが良いのでびっくりしました(実は気になって後日購入。蒸れにくいというだけあって、履き心地が良く気に入っています!)



こちらはランプシェードの試作品。


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手書きや印刷ではなく、レーザー加工で刻印しているそうです。

紙を切り抜くだけなら簡単ですが、焦げ付かない具合の刻印は技術がいることでしょう...!


極限に薄い和紙への印刷もできるそうです。


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ティッシュよりも薄〜い和紙。しっかりインクが乗って、発色も良く驚きました。

他にも和紙からできた製品がいろいろ。


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「本当は和紙が売れてくれるのが一番ですが、他の業種の方にも知ってもらう機会になれば」と、着物、ファッション、雑貨、インテリアなど、和紙活用の道を模索し続けている小津和紙さん。


私たちも今後、何か一緒にできたらと思うのと

「和紙をこんなことに使いたい・使えるのでは?」というアイデアやご意見がございましたら、ぜひ小津和紙さんに相談してみてはいかがでしょうか。



〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-6-2 小津本館ビル


 
 
 

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